インド発祥のアーユルヴェーダだけに、使用する食材にはインドならではのものがたくさんあります。
スパイスやハーブなど、日本人にはまだまだ身近なアイテムではありませんが、無理にインド料理を食べなくても日々の暮らしで取り入れることも可能です。
このセクションでは、消化を第一に考えるアーユルヴェーダ食事法にとって欠かせない食材を紹介します。
スパイス

インド料理といえばスパイス。身近なものから、ほとんど聞いたことがないようなものまで種類は様々です。
スパイスは、適量を摂取することで、ヴァータを調整してアグニの力を高めてくれる作用があります。
また、カパの増大も抑えてくれるので、肥満防止にも役立ちます。
ただ、スパイスといっても、日本人としてはどのように食事に取り入れるべきなのか難しいところですよね。
そのままインド料理を食べるのは、なかなか困難ですし、口に合わない方も多いでしょう。
代表的なスパイスとその特徴を紹介しますので、日常の日本食の中に取り入れることから始めてみましょう。
クミン
胃や腎臓を守ってくれ、消化促進に役立ちます。ヴァータ・ピッタ・カパのどれもを鎮静化させてくれます。
煮込む際にはパウダーを、料理の仕上げで使用する場合はシードを炒って粉にしてから使用しましょう。
食欲増進効果もあります。
ターメリック
抗菌作用があり、肝臓の働きを助けます。
多くのスパイスを使用する際は、それらの間を取り持つ力がありますので、インド料理には不可欠だとされています。皮膚炎にも効きます。
ピッタとカパを鎮静化させてくれますが、取りすぎるとヴァータを増大させますので注意。
黒コショウ
料理に香りを与えてくれるだけでなく、消化を助けてくれます。
白コショウとの違いは、収穫してすぐに乾燥させているかどうか。
ヴァータとカパを鎮静化させますが、ピッタタイプの方は少量摂取するようにしましょう。
アジョワン
小麦粉の生地や焼き物の衣に香ばしさを与えてくれるスパイス。
呼吸器や消化器のうっ血を除去してくれ、腎臓機能を保ち、ガス抜きの作用もある。
お茶にして飲むのもよい。ヴァータとカパを鎮静化させますが、ピッタタイプの方は少量摂取するようにしましょう。
ギー
ギーは無塩バターから糖質やたんぱく質を取り除いたもので、アーユルヴェーダにおいて万能薬とされています。
古典では、「ピッタとヴァータを除去し、液体、精液、生命力の増大のために有効であり、冷却性があり、身体を柔軟にし、声と顔色をよくする」とギーについて記されています。
また、保存性も良く、アグニの火を燃え立たせ、食欲を増進させてくれます。
温かい牛乳と一緒に夜に摂取すると、ヴァータ性の便秘解消や不眠解消にもなるといわれています。
傷を治す力もあるため、やけどの際などには傷に塗り込むとよいとされています。
ただし、多く摂取しすぎると、カパを増大させ、消化の通路を閉ざしてしまうので注意しましょう。
ギーは、日本食においても多くの使い道があります。
トーストに塗ったり、炒め物に使用すると美味しく摂取することが出来るでしょう。
ギーを手作りするためには時間と手間が必要ですので、手作りできない際には市販のギーも販売されています。
ぜひ、取り入れるようにしてみましょう。
ハチミツ

ハチミツは体内に熱を作るため、カパとヴァータを鎮めますが、ピッタを高める作用があります。
目や歯にも良い作用があるとされており、咳や風にも効果的です。
ハチミツは薬草などの作用を体全体に行きわたらせる作用があるため、インドでは様々な料理に使用されています。
適度な量の摂取は脂肪を減らすとさえ言われています。
ただし、古典においては、「はちみつは過熱すると毒になる」と記されています。
これは、加熱することで消化酵素の効果が失われ、糖化蛋白が発生するためだと考えられています。
しかし、現在市場に出回っているハチミツは加熱されたものが多く、日本では生のハチミツによるボツリヌス中毒の死亡例も報告されています。
しかし実際に毒素が発生するのは100℃で長く加熱した際ですので、5,60℃で30分以内の過熱を行う分には問題ないとされています。
ウコンなどのスパイスと一緒に摂取することで、さらに毒素を抑えることが出来ますので利用してみましょう。
たとえば、スパイスティーなどに少しのハチミツを入れて飲むと、ハチミツの良い効果を得られるでしょう。