⑧自分に合ったものや旬のものを食べる

人には、遺伝的に受け継がれた食事の慣習があります。
慣れた食事は消化しやすいよう、体が順応しているのです。
海外に長く暮らす日本人が味噌汁を飲んで落ち着いたりほっとするのも、この考え方に当てはまるでしょう。
また、後天的に身についている慣習もあります。小さい時から慣れ親しんで食べているものは消化しやすいようになっています。
海外旅行に行って現地の食事をとりすぎ、体調を崩したことはありませんか?
どんなに体に良いとされるものでも、慣れていないものでは体は驚き、消化力が鈍ってしまいます。
反対に、その土地土地で食べるものを変えるような工夫も大切です。
例えば、日本の食事は熱をためやすい食材が多く使われているため、気温の高い国では合いません。
長く気温の高い海外で暮らす人が、日本食をやめて現地の食事を取り入れたことで過ごしやすくなったというケースもあるのです。
自分自身の身体の状態や体質、年齢や運動量などによって、食事の方法をうまく変化させることも大切であるといえます。
また、旬の食材を料理の中に取り入れることも大切です。
人は1年という季節の中に生きており、体の中にもサイクルが存在します。
季節によって各ドーシャのバランスも異なるので、それに合わせた食事をとることが大切です。
身の回りで取れる旬の食材には、その季節の優勢ドーシャの増大を抑えてくれるものが自然と多くなっています。
例えば、春の山菜は苦味があり、乱れやすいカパを落ち着かせてくれます。
秋に出てくる甘味のある果物はピッタの増大を抑えてくれるのです。
日本は四季の変化に富んだ国ですので、ぜひ季節ごとに食事を工夫して旬を取り入れましょう。
⑨食べ合わせの悪いものを避ける
日本でも昔から「鰻と梅干」など、食べ合わせの悪いものが言い伝えられていますが、アーユルヴェーダにも同じように食べ合わせの悪い食べ物があります。
その代表として、牛乳との食べ合わせがあります。
塩・果物・魚などは牛乳と食べ合わせが悪い食物だとされています。
他にもたくさん食べ合わせの悪い組み合わせが存在しますが、温度の異なる食事の食べ合わせにも注意が必要です。
熱いものと冷たいものを交互に食べたりすると、胃が驚き、消化力を落としてしまいます。
しかし、若い人や運動量の多い人にはあまり当てはまらない場合もあります。
これらの食べ合わせは続けることで体に悪影響を及ぼすとされていますので、一度の食事でそこまで大きな影響はありません。神経質になりすぎず、気を付けるようにしましょう。
また、複雑な調理法の料理も消化を妨げると考えられています。
例えば、揚げたり煮たりという工程の多い酢豚などが当てはまります。
これは、各工程で食物の鮮度が失われ、食べるころには良いエネルギーが残っていないという考えからです。
アーユルヴェーダでは、どのような食材でもシンプルな調理法が勧められています。
⑩6種類の味と少しの油をとる

前セクションでも述べたように、アーユルヴェーダでは6種類の味(甘味・酸味・塩味・辛味・渋味・苦味)が存在します。
これらの味をまんべんなくとることは、五感の刺激にも非常によく、体内のドーシャのバランスを保つためにも良いとされています。
ただし、すべての味を同量食べることは非常に困難ですので、量に差はあっても構いません。
どの味も含んだ食事をとることが大切です。
また、少量の油は私たちの身体を潤わせ、若々しくしてくれます。
実際に人間の8割を占めるといわれる水分には少しの油が含まれています。
料理は油を使うことでうまみが増します。おいしいと感じることで消化も高まりますので、ぜひ少量の良質な油を料理に取り入れるようにしましょう。