Lesson6-3-① 正しい食事のルールと実践法

前セクションでも述べましたが、健康な体作りには、正しい食事をとり、アグニ(消化)の力をしっかりと保ち、アーマ(毒素)を体内にためないようにすることが大切です。

そのためには、正しい食事方法を身につけることが最も重要です。
身体によいものを食べていても、食べ方が間違っていると意味がありません。
以下では、正しい食事のとり方をまとめましたので、ぜひ今日から実践してみましょう。

①決まった時間に食事をとる

毎日、決まった時間に規則正しく食事をとることは、食事のルールの中で最も重要です。
毎日決まった時間に食事を取ることで、体内のリズムができ、消化のリズムもできてきます。
自然にその時間になるとお腹が空き、消化の準備がしっかりと整うので、アグニがしっかりと働く状態を保つことが出来ます。

また、食事はしっかりとお腹が空いてから(胃の中の食物が消化されてから)取るようにしましょう。
胃の中に前の食事の食物が消化途中で残ったまま次の食事をすると、胃の中に状態の違う食物が混ざってしまい、結果的に不完全な消化になってしまい、アーマを作り出してしまいます。

基本的に、前の食事と開けるべき間隔は3,4時間です。
その間に空腹が襲ってきても、それは本当の食欲ではない可能性が高いでしょう。
どうしても食欲が我慢できないときにはまず、水を飲んでみましょう。それで落ち着くようであればそれは本当の食欲ではありません。

反対に、決まった時間になっても食欲が湧かないときには、しょうがを食べたり、食欲増進に効くスパイスティー(クミン茶・アジョワン茶など)を飲んで、食欲が湧くように工夫しましょう。

理想の食事時間

それでは、具体的に何時に食事をするのが良いかを考えてみましょう。食べ方や食べるものについてはそれぞれのドーシャによって異なりますので、後の「体質別の食事法」にまとめています。

「Lesson3-6 季節・時間・年齢によるドーシャの変化」でも述べましたが、1日の時間帯にはそれぞれのドーシャが優勢になる時間帯があります。また、就寝時には胃の中に食べ物が残っていない状態が理想ですので、夕食は就寝の3,4時間前までに済ませましょう。それらの点を考慮し、逆算すると以下のような食事時間が理想であるといえます。

  • 朝食 7:00~8:00
  • 昼食 12:00-13:00
  • おやつ 15:00~16:00
  • 夕食 18:00~19:00

②適量の食事をとる

アーユルヴェーダでは、胃の中を4つに分けて考えます。
そして、胃の4分の2は固形物、4分の1は液体物で満たし、残りの4分の1は空けておくようにというのが理想とされています。
この理論で考えると、毎食の食事において胃の75%くらいを食事や飲み物で満たすようにという事になります。
よく日本では、「腹八分目」といいますが、その考え方と似ています。

食事の量に関しては、胃の大きさや体質は人それぞれなので、一概には言えません。
しかし、共通して大切だと言えることは、「次の食事までに消化できる量の食事をとる」という事です。
ほどよく心や気持ちが満たされ、話したり動いたりすることに支障がない程度が適量です。
食事が少なすぎると肌につやがなくなったりとトラブルが発生します。

しかし食べ過ぎはもっと身体によくありません。消化できないものを体内に残すと、アーマをたくさん生み出してしまいますので、食べ過ぎで動けないなどというようなことがないように、適量を心掛けて食事をとりましょう。

③食べる速度に気を付ける

食事のスピードは速すぎても遅すぎてもだめだといわれています。

速すぎると、しっかりと嚙めていない食物が胃の中に入り、消化が困難になります。
反対に遅すぎると、すでに消化が始まっている胃の中に新しい食物が入ってきてしまうため、消化にバラツキが生じてしまいます。

一般的に、1回の食事の時間は20分前後が良いとされています。

食後は、身体をリラックスさせ、胃に血液を巡らせて消化を促すことが大切です。
食後すぐの運動や入浴は、それを妨げてしまいますので避けましょう。
家に帰ったらまず入浴し、気分が落ち着いたら食事をとるようにするのが良いでしょう。
また、食後しばらくしてから、軽く散歩程度に運動を行うことは消化を促す効果があり、アーユルヴェーダにおいてもオススメされています。