Lesson5-1 アーユルヴェーダを取り入れた生活(脈診)

脈診

脈診での気づき

伝統医学において脈診は病状を当てる占いの様に捉えられることが多いのですが、「当たる」「当たらない」という考え方は少し古いように感じます。

脈診は、私たちの生活の中でもっと身近な健康管理方法であり、やり方さえ慣れてくれば、少しの体調の変化にもいち早く気づくことが出来るのです。

アーユルヴェーダでは、病気の根源や傾向をいち早く見つけ出すことが重要だと考えられていますので、脈診による自己診断を毎日行うことは、生活の中で欠かせない行為なのです。

脈診のやり方

アーユルヴェーダでは、男性は右の手首、女性は左の手首で脈診を行います。
右手首には太陽のエネルギーが、左手首には水のエネルギーが優勢に働いています。

それぞれ、脈診する手とは反対の手で橈骨動脈を測ります。
手首の側面にある尖った骨(橈骨茎状突起)の下に、測る指を人差し指・中指・薬指をぴたりとくっつけて触れてみましょう。
この時、人差し指はヴァータ、中指はピッタ、薬指はカパを測るための指であると考えてください。

この触れ方で、触れる指の深さを5層に変えながら脈診を行い、様々な体調の様子を知ることが出来ます。


①最表層:軽く触れてみて、脈の状態が第一印象でアーマ(不明瞭・重い)かオージャス(明瞭・軽い)かどちらの性質なのかを診ます。

②第2層:3本の指に感じる強さと感覚を診ます。正常であれば、人差し指には横に動く脈、中指には上下に動く脈、薬指にはゆっくりと波打つ脈が感じられるはずです。これらの感じ方が違った場合、その指に対応するドーシャが増大していると診断できます。

③第3層:サブドーシャを診断できる層です。3本の各指先(人差し指・中指・薬指)を細かく5か所に分けて(図1)、それぞれの状態を観察し、今の身体の状態を予測します。(医師の領域・自己診断では難しい)

図1)第3層で脈診を行う際の指先の分け方

 

④第4層:ダートゥ(組織)の状態を観察できる層です。3本の指の感覚が同じかどうか、強さや速さをじっくりと観察します。(医師の領域・自己診断では難しい)

⑤第5層:プラクリティを知るための層です。3本の指にかかる力の強さや作用で、本質を知ることが出来ます。(医師の領域・自己診断では難しい)