Lesson1-4 西洋医学との違い

西洋医学とアーユルヴェーダの違い

日本では現代医療の中核として西洋医学の手法が取り入れられています。

前セクションでも述べましたが、アーユルヴェーダは西洋医学の発展にも貢献したといわれています。
しかし今や、西洋医学とアーユルヴェーダでは考え方・治療法に大きな違いがあります。

「病気」や「医療」の考え方

西洋医学で「病気」とは、体に何かしらの異変が起きていることを示します。病気になって初めて治療を開始し、人間そのものをモノとして捉え、分析的に治療や研究を進めていきます。

それに対してアーユルヴェーダでは、「病気」はなる前に防ぐことが最も重要であり、防ごうとする行為こそが医療であると考えています。
病気になる前の状態を「未病」と定義づけ対処するという考え方は、中医学やチベット医学などの伝統的な医学には不可欠な考え方だとされてきました。

アーユルヴェーダでは、「未病」の状態をさらに以下の4つに分類します。

  • 蓄積
  • 増悪(ぞうお)
  • 播種(はんしゅ)
  • 局在化

病気は3つのドーシャ(生命エネルギー)のアンバランスから起こると考えられています。

ドーシャのバランスが崩れ、ドーシャが身体の一部に「蓄積」します。それが増えすぎると「増悪」となり、局所的な不調を発症します。
さらにそれが増えると身体全体に「播種」し(散らばり)、弱い部分に「局在化」して最終的には病気を発症するのです。

アーユルヴェーダでは、どんなに大きな病気でも、一をたどればドーシャの乱れが原因であるため、予防するためには日々ドーシャのエネルギーを感じ、自分のドーシャの状態にしっかりと向き合うことが最も大切であるとされています。

この考え方に基づくと、10数年かけて発症するというガンにおいても、未病のうちに対処できる可能性があるかもしれないのです。

また、アーユルヴェーダでは、人間は身体、精神、霊魂の3つが整って初めて健康であると考えられています。

近年ようやく精神面に重きを置いた医学が注目されてきていますが、西洋医学は決定的にこの分野が欠けているといえるでしょう。病気の原因・治療にばかり注目が置かれ、病人を作らないための医学はそっちのけにされているような風潮もあります。

自分の身体を知るということ

医療技術の進歩とともに、定期検診や人間ドッグが広まり、昔は見つかりづらかった病気も今では早期発見が可能になってきました。しかし、これらの検査には費用・身体的負担もかかりますし、発見されたところで治癒できるかどうかはまた別の話であるといえます。

そもそも、小さな病気の種を発見することよりも、その病気を防ぐための予防が最も大切なことなのです。現代人ではこの点を勘違いしている人が多いでしょう。日々の生活の中で予防を心掛け、病気を防ぐことが出来れば、病気を恐れる必要もありません。

「病気になったら医者に行けばよい」という考え方は非常に危険です。
病気をすべて医者任せにするのではなく、病気にならないような生活を心掛け、自分自身の身体と向き合い、よく知ることこそが一番の予防医学なのです。

この予防医学の知恵を学べるのがアーユルヴェーダです。病気になってから治療を考える西洋医学とは根本的に考え方が異なりますね。

次のセクションではアーユルヴェーダを考えるときに、切っても切り離せない「カルマ」について学びましょう。